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イヌ リンク集

学名(ラテン語)「Canis lupus familiaris (仮名転写:カニス・ルプス・ファミリアーリス)」の語義は「犬、狼、家庭の者」であり、すなわち、「広義で言う犬の一族、その中の狼という一派、更にそのうちの、人とともにある一群」との命名意図がある。 イヌはカール・フォン・リンネ(1758年)以来、伝統的に独立種 Canis familiaris とされてきたが、イヌをタイリクオオカミ (Canis lupus) の亜種の一つとする学説(1993年、D.E.Wilson and D.A.M.Reeder)が、現在では受容されつつある。また、異説ではジャッカルから分化したとする。イヌ科の始原的動物(最古の祖先)と考えられるへスペロキオン(en、イヌ科ヘスペロキオン亜科[en])は約3,800万年前(古第三紀始新世後期前半)、ミアキス科(en)から分化し、北アメリカ大陸の平原地帯で誕生した。この系統はその後、約2,300万年前(中新世)にはユーラシア大陸へ分布を拡げながらいっそうの進化を遂げてイヌ亜科の直接的祖先と目されるトマルクトゥス(en)を生み出し、アフロ・ユーラシア大陸全域に適応放散し、そしてまた、アメリカ大陸にも移動して古い時代の種を一掃していったと考えられている。 広義の「イヌ」(後述)と区別して「イエイヌ」(英語名:domestic dog)とも言うが、これは伝統的な学名 C. familiaris(家族の-犬)に対応した呼称。 また、広義の「イヌ」は広くイヌ科に属する動物(イエイヌ、オオカミ、コヨーテ、ジャッカル、キツネ、タヌキ、ヤブイヌ、リカオンなど)の総称でもあるが、日本ではこちらの用法はあまり一般的ではなく、欧文翻訳の際、イヌ科動物を表す dogs や canine の訳語として当てられるときも「イヌ類」などとしてイエイヌと区別するのが普通である。以下では狭義のイヌ(ヤマイヌなどを除くイエイヌ)についてのみ解説する。 サモエド イエイヌは人間の手によって作り出された動物群である。最も古くに家畜化されたと考えられる動物であり、現在も、ネコ Felis silvestris catus と並んで代表的なペットまたはコンパニオンアニマルとして、広く飼育され、親しまれている。 野生化したものを野犬(やけん、のいぬ)といい、日本語ではあたかも標準和名であるかのように片仮名で「ノイヌ」と表記されることも多いが、分類学上は種や亜種としてイエイヌと区別される存在ではない。 犬種については犬の品種一覧を参照。現在、ジャパンケネルクラブ (JKC) では、国際畜犬連盟 (FCI) が公認する331犬種を公認し、そのうち176犬種を登録してスタンダードを定めている。 世界全体では4億匹の犬がいると見積もられている。

イヌの染色体は78本 (2n) あり、これは38対の常染色体と1対の性染色体からなる。これは同じイヌ属のディンゴ、オオカミ類、ジャッカル類、コヨーテ類などとも共通である。これらの種は交配可能であり、この雑種は生殖能力をもつ。ただし、これらは行動学的に生殖前隔離が起こり、また、地理的にも隔離されている。ジャッカル類は主にアフリカとアジアに、コヨーテ類は北アメリカ大陸に分布する。 また、オーストラリア大陸と周辺地域に生息するディンゴと、ニューギニア島に生息するニューギニアン・シンギング・ドッグは、人類によって約4,000年前に持ち込まれたイヌであり、かつては別種とされていたが、現在はイエイヌとともに、タイリクオオカミの1亜種とされている。

イヌの属するイヌ科は、森林から開けた草原へと生活の場を移して追跡型の狩猟者となった食肉類のグループである。待ち伏せ・忍び寄り型の狩りに適応したネコ科の動物に対して、イヌ科の動物は、細長い四肢など、持久力重視の走行に適した体のつくりをしている。 また、イヌは古くから品種改良が繰り返されて、人工的に改良された品種には、自然界では極めて珍しい難産になるものも多く、品種によっては、出産時に帝王切開が必要不可欠となる(主にブルドッグ)。 骨格 狼爪の例 イヌの歩き方は、指で体を支える趾行(しこう)性で、肉球(4つの指球(趾球)と1つの掌球(蹠球))と爪が地面につく。爪は先が尖っており、走るときにスパイクのような役割をする。ただし、ネコ科のものほど鋭くはない。爪を狩りの道具とするものが多いネコ類とは異なり、イヌ科の動物は爪を引っ込めることができず、各指は広げることができない。ネコ類と同じく、第3指(中指)と第4指(薬指)の長さが同じである。後肢の第1指(親指に相当する)は退化して4本指の構造となっているが、たまに後肢が5本指のイヌもいる(こうしたイヌの後肢の第1指「狼爪」と称する)。前肢は5本指の構造となっているが、やはり、その第1指も地面には着かない。 柴犬の後肢 前肢はほとんど前後にしか動かず、鎖骨は失われている。逆に股関節は、靭帯による制約が少ないために、他の家畜類に比べて可動性が広く、後肢を頭を掻くのに用いたりし、また、雄は排尿時に高く持ち上げるが、陰茎の位置からして大型犬のほうが有利ではある(雌はしゃがんで少し上げる)。反面、靭帯が少ないことは、しばしば股関節脱臼を起こす原因ともなっており、高齢犬・著しく体重が増えた犬・大型犬でその傾向が高い。 肋骨は13対で、ヒトより1対多く、走るのに必要な肺と心臓は、体のわりに大きい。心臓はネコ目(食肉目)の他のグループの動物と違って球形に近く、特に左心室が非常に大きい。 尾は走行中の方向転換で舵として働くが、オオカミなどと比べると細く短くなっており、また、日本犬に多く見られるように巻き上がっているものがあるのは、筋肉の一部が退化して弱くなっているためである。 陰茎に陰茎骨を具えていることも特徴である。 歯 歯式は 3/3・1/1・4/4・2/3=42 で歯は42本(21対)あり、32本(16対)の歯をもつヒトや、28- 30本のネコと比べると、顎が長い分、歯の数も多い。ヒトと比較すると、切歯が上下各3本、前臼歯(小臼歯)が各4本と多く、後臼歯(大臼歯)は上顎で2本(下顎は3本)と少ない。イヌ亜目に共通の身体的特徴として、犬歯(牙)のほかに、裂肉歯と呼ばれる山型にとがった大きな臼歯が発達している。この歯は鋏(はさみ)のようにして肉を切る働きをもつ。裂肉歯は、上顎の第4前臼歯と、下顎の第1大臼歯である。食物はあまり咀嚼せずに呑み込んでしまう。 消化器 豚足を食べるゴールデン・レトリバー イヌ科グループの他の動物と同様、イヌは基本的には肉食であるが、植物質を含むさまざまな食物にも、ある程度までは適応する。消化管はそれほど長くないが、腸の長さが体長(頭胴長)の4- 4.5倍程度であるオオカミに対して、イヌのほうは5- 7倍と、いくらか長くなっている。肉食獣の中には盲腸をもたない種も存在するが、イヌはそれほど大きくないものの 5- 20cm程度の盲腸をもつ。 腺 イヌの耳下腺は、副交感神経性の強い刺激を受けると、ヒトの耳下腺の約10倍のスピードで唾液を分泌する。唾液は浅速呼吸(喘ぎ)により、口の粘膜と舌の表面から蒸散する。激しい運動のあと、イヌが口を開け、舌を垂らしてさかんに喘いでいるのはこのためである。イヌの体には汗腺が少ないが、この体温調節法は汗の蒸発による方法と同じくらい効果的であるという。 肛門には肛門嚢(こうもんのう)と呼ばれる一対の分泌腺があり、縄張りのマーキングに使われるにおいの強い分泌液はここから出ている。ジャコウネコやハイエナのように外に直接開いてはおらず、細い導管で肛門付近に開口している。なお、イヌが雨に濡れたときなどに特に匂う独特の体臭は、主に全身の皮脂腺の分泌物によるものである。 嗅覚 柴犬の鼻づら 警察犬の遺留品捜査や災害救助犬の被災者探索等でよく知られるように、イヌの感覚のうち最も発達しているのは嗅覚であり、においで食べられるものかどうか、目の前にいる動物は敵か味方かなどを判断する。また、コミュニケーションの手段としても、ここはどのイヌの縄張りなのかや、相手の犬の尻のにおいを嗅ぐことで相手は雄か雌かなどを判断することでも嗅覚は用いられたりする。そのため、イヌにとっては嗅覚はなくてはならない存在である。 イヌの嗅覚はヒトの数千から数万倍とされるが、その能力は有香物質の種類によっても大きく異なり、酢酸の匂いなどはヒトの1億倍まで感知できる。嗅覚は鼻腔の嗅上皮にある嗅覚受容神経(嗅覚細胞)によって感受されるが、ヒトの嗅上皮が3-4cm2なのに対し、イヌの嗅上皮は18-150cm2ある。嗅上皮の粘膜を覆う粘液層中に分布する、「嗅毛」と呼ばれる線毛は、においを感覚受容器に導く働きをするが、イヌの嗅毛は他の動物のそれより本数が多く、長い。嗅細胞の層も、ヒトでは一層であるのに対して、イヌでは数層になっており、ヒトの500万個に対し、2億5千万から30億個あると推定されている。鼻腔の血管系もよく発達している。ヒトが顔や声について特別な記憶力をもつように、イヌは匂いについての優れた記憶力をもっている。イヌを含む動物群の鼻先のいつも湿っている無毛の部分を「鼻鏡」と呼ぶが、これは風の向きを探る働きをすると考えられる。 上述のようにイヌが嗅覚に優れた動物であることは事実であるが、ただし、他のさまざまな動物に比してイヌの嗅覚だけが特別に秀でているということではない。イヌ同様に探索目的での使役が多いブタ(イノシシ類)も引けを取らないと考えられているし、クマの研究者によればクマ類の嗅覚はイヌ(イエイヌ)の約7倍とされている。ゾウは嗅覚細胞の総量から言っても、能力においてイヌやクマを遥かに上回る動物として知られている。 聴覚 イヌは聴覚も比較的鋭い。また、可聴周波数は 40-47,000 Hz とヒトの 20-20,000 Hz に比べて高音域で広い。超音波を発する笛である犬笛(約30,000 Hz)はこの性質を利用したもの。聴力において、犬種による違いはほとんどみられない。

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


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